クリア・スカイ
体育館裏から教室に帰ると、きまって女子生徒たちにそう言われる。その言葉はどこか棘があるように感じた。
ほたるは友達が多く、クラスでも人気がある。それは二年生になっても変わらない。変わらないからこそ、そこには妬みが生まれていく。
太陽が照らす場所には必ず影があるように、ほたるの光が強ければ強いほど、その陰に隠れてしまう女子が多くなる。真っ暗な場所にいると光が恋しくなり、光を持っている人を疎ましく思う。
友情の中に見え隠れする嫉妬は、しだいにほたるの学校生活を曇らせていく。
「私は、ずっと前から好きな人がいるから……」
「駆先輩だよね? もういい加減コクっちゃいなよ。それで付き合うなり振られるなりしてもらわないと、私たちも困るんだよね。いいところは全部ほたるちゃんに持って行かれるんだから」