クリア・スカイ
「じゃあ、そろそろ帰るね」
「おう、雪に滑らないようにな」
ほたるは駆の家から出ると、新しく積もった雪の上を歩いていく。膝まで埋もれちゃうんじゃないかっていうほどの雪。ほたるはどんくさいから、こけないか心配になる。
ほたるは駆の家から二軒先の家の前で足を止めた。表札には〈空野〉と書かれている。
「すいません、陽咲ちゃんはいますかー?」
ほたるは玄関の引き戸に向かってそう叫んだ。
「ほたるちゃん! どうしたのー?」
ほどなくして玄関から顔をのぞかせたのは、陽咲に良く似た男の子だった。
「陽太くん、こんにちは。陽咲ちゃんって家にいる?」
「うん、いるよー。自分の部屋にいると思うから、上がっていきなよ」