クリア・スカイ
 
 ドキドキする。緊張する。自分でもよく分からないけど、私はこの人に何か特別なものを感じているような気がした。


――料理の配膳と食材の説明が終わると、私たちは再び襖の近くで正座になった。


「それでは、焼き物などもお持ちいたしますのでお待ちくださいませ」

「ありがとうございます。楽しみにしていますね」

「はい。それでは失礼いたします」


 静かに襖を閉めて部屋の外に出る。ようやく緊張から解放された私はため息をこぼした。


「どうしたの? ため息なんてついて」

「すいません。なんだか緊張しちゃって……」

「あっ、もしかして彼みたいな人がタイプなの?」

 ゆかりさんのにやにやした顔がとっても嫌だ。後で晶子さんやほかの仲居さんにこのことを話して、みんなでからかってくるのは目に見えている。
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