クリア・スカイ

「いろいろ、考えることもあるし、頭の中を整理したいけど……。その前に、あの人が東京に戻る前に、何かお礼がしたいって思う。お前だって、そう思わないか?」

 ああ、そういうことか。ずっと何を考えているのだろうと思ったら、柳さんのことを考えていたんだ。自分のことで精一杯なはずなのに、他の人のことを考えることができる駆は立派だと思う。
 

 駆が少し大人びて見えるのは、見慣れない浴衣のせいだろうか。


「うん、私も、柳さんのために出来ることがあるならしたい。私達がいろんなことを知れたのは、柳さんのおかげだもの」

「よし、それじゃあ決まりだな。じゃあ明日の朝、また柳さんの部屋に行くぞ。まずは柳さんに詳しい事情を聞いてみよう」

「分かった。じゃあ、また明日ね、お休み」


 駆の背中を見送った後、私は家の中に入った。


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