クリア・スカイ
「あれは、世界で一冊の本……。えっ、でも、あの人は確か……。…………あっ!」
駆はぶつぶつ独り言を言っていたかと思うと急に大声をだして、勢いよく立ち上がった。
「か、駆。どうしたの?」
「陽咲、俺、いったん家に帰るわ。また連絡するから」
「え、ちょ、ちょっと待って……」
駆は私の制止を聞かずに、風のような速さで部屋から飛び出していった。
部屋に残された、神主さんと私。
「――どうやら、駆くんは探し物が見つかったようだね」
「えっ……?」
神主さんの私を見る目は、全てを見透かしているようだった。この人は、私たちの嘘に最初から気づいていると、直感した。