クリア・スカイ
私は部屋から神主さんの背中を見送った。この部屋には、私以外誰もいない。 一人ぼっちになってしまった。駆は慌てて家に戻っていった。何をしに行くのか言わなかったけど、何となく分かる。
きっと、駆の持っているあの絵本が、何かの鍵を握っている。
……それまで、私は何をしていようかな。私もいったん家に帰ろうかな、それとも、旅館で柳さんを待とうか。
これからのことを考えながら、ふと、首元にいる空色の石に触れてみた。
〈――こうやって、君に声をかけることが出来るなら。僕はどんなことだってするのに〉
「あ……」
石に触れた瞬間、彼の声が聞こえたような気がした。何年もずっと、ほたるの傍で、気持ちを伝えられずに苦しんでいた、彼の声が。