クリア・スカイ
十七.母親。

 神社から自転車に乗って、病院へと向かった。駆にはチャットアプリで『病院に行く』と一言伝えておいた。

 駆は絵本を見つけたらどこに向かおうとするのだろう。そして、柳さんは、お洗濯は終わっただろうか。


 いつも病院に向かう時は、悲しい気持ちが心の大部分を占めていた。ほたるの姿を見るのが、正直辛かった。


 でも、今日は違う。女将への怒りと、真実を知りたいという思いが強くて表情も硬くなる。
 こんな険しい顔をしていたら、ほたるはきっとビックリすると思う。何があったの、大丈夫? って、心配をかけちゃいそう。


 大丈夫、心配しないで。きっと明日にはまた、笑ってほたるのところに行くから。


――病室の前で立ち止まり、二回ノックをしてから入室する。部屋にはほたると女将の姿があった。

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