クリア・スカイ
 
 帰り道は同じような造りの家が軒並み続いていく。澄ノ島は人口四万人ほどの島で、昔から住んでいる人が多く、外から移住する人はほとんどいない。

 若い人は進学や就職で次々と島を出ていくため、急速な少子高齢化社会が進んでいる。何もかもが古くて、少しずつさびれていく。そんな島の景色を見ると寂しいけど、なぜかほっとする。

 そんな不思議で複雑な気持ちを抱えて歩いていくうちに自宅に到着した。他の家と同じように古い平屋である。


「ただいまー」

 無施錠の玄関の引き戸を開け、立ったままスニーカーを脱ぐ。

 そして、しゃがんで靴の向きを整えるときに初めて家族以外の靴があることに気づく。大きめサイズの黒いローファー。つま先部分に傷があり、新品ではないことが伺える。

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