クリア・スカイ

 そう思うと、少し寂しい。……いや、少しじゃない。すごく寂しい。

 私がため息ばかりついているのは、この寂しさを感じているというのもある。
 今まではなんとも感じなかった沈黙ですら、重くてつらい。


「……俺さ、本格的にサッカー部に復帰したんだ。ずっとサボってたから体もなまっていて、正直キツイ。部員の目も厳しくてさ」

「そうなんだ。大丈夫? 無理してるんじゃない?」

「無理していない、といえばウソになるけどさ。無理しないと、何も始まらないから」


 そう言って、真っ直ぐに前を見つめる駆がとても凛々しく見えた。何かを吹っ切ったような、清清しい表情をしている。

 駆はまた前を向いて歩き始めている。彼の横顔を見てそう確信した。

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