クリア・スカイ

「おかえりなさい、駆」

「ただいま。……って何か変な感じだな」


 そんな駆に私がかけた言葉は、とっても短かった。でも、その言葉に私の気持ち全てが込められている。

 やっと、私の幼馴染が帰ってきた。神主さんにもらった絵本に影響を受け、世界の舞台でヒーローになることを夢見た少年が、今、隣にいる。

 それは誇らしく、嬉しくもあるのだけれど、それと同時にある不安も生まれる。


「ねぇ、もし辛くなったら、ちゃんと私に相談してね」

「もちろん、約束するよ」

「絶対だよ? 駆には私がいるってこと、絶対に忘れないで……って、あの、今のは変な意味じゃないから!」



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