クリア・スカイ

 今までだったら気にならなかった言葉も、変に気にして、慌ててしまう。
 今度は私のせいでまた、二人の間に気まずい空気が漂った。


「……あのさ、俺、自分の気持ちをもう一度ちゃんと整理しようと思っている。ちゃんと考えて、向かい合いたい……だから、それまでは今までどおりでいてほしい」

 気まずい空気が少しずつ澄んで行く。そっか。駆は、自分の気持ちに関しても向き合うことに決めたんだ。


「分かった」

 向き合った結果、どうなるか分からないけど。答えが出るまでの間は、このままでいよう。今の私には、それで十分だった。


「じゃあ、俺そろそろ行くわ。久しぶりにサッカー教室に顔を出すんだ」

「へぇ、楽しそうだね。私もそろそろ行こうかな。旅館に行かなくちゃ」

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