クリア・スカイ

 一週間前に見たあの記憶を思い出す。心が苦しくなるけど、優しい気持ちにもなる。とっても不思議で、神秘的な気分だ。


「……じゃあ、そろそろ行こうか」

 着替えを終えた私は彼と一緒に更衣室を出た。出てすぐのところで、晶子さんと鉢合わせる。


「あ、陽咲ちゃん! おはよう。仕事前に若女将が事務室に来てってさ」

「おはようございます。分かりました、すぐに行きますね」

 私はすぐに事務室へと向かった。途中にある調理場のところで、またあの人に声をかけられる。


「陽咲ちゃん、おはよう。おなか減ってる?」

「大輔さん、おはようございます。うーん、やっぱり、この場所に来るとおなかが空きますね」

「だろ? じゃあ、今日はこれをあげるよ」


< 284 / 318 >

この作品をシェア

pagetop