クリア・スカイ

 駆は小さい頃からサッカー一筋だった。島の子供の誰よりもうまく、すぐにその才能を大人達に見込まれ、高校はスポーツ推薦で合格した。

 フェリーで一時間、電車で一時間かかるその高校はスポーツに強く、野球やサッカー部は全国常連校だ。


『俺、高校で絶対に全国行く。それでゆくゆくはプロサッカー選手になるんだ』


 高校合格が決まった時、駆は目を輝かせてそう話していた。駆にとってそれは大きすぎる夢ではなく現実的なものだった。前しか見ていない。夢のことしか考えていない。そんな駆は私の自慢の幼馴染だった。


――そんな駆を変えたのは、あの春休みの出来事だった。

 中学の時は爽やかなスポーツ少年という印象だったのに、今は髪を金髪に近い色に染めピアスまであけている。だらしない制服の着こなしも合わせると不良生徒にしか見えない。

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