クリア・スカイ
明るくていつでも輪の中心にいるような性格だったのに、今は笑顔を見せる回数や友達と遊ぶ回数は減っている。
あの日から、駆も私と同じように、見えない何かに苦しんで、もがいて、後ろだけを見ているのだと思う。
「ごちそう様でした」
「お粗末様でした。またいつでも食べにおいで」
夕食を食べ終えた私と駆は一緒に家を出た。駆は二軒先の家に住んでいて、歩いて三分もかからない距離だ。たったその距離でも私は駆を一人で歩かせたくなくて、家まで送っていくことにした。
「今日は前髪を留めているんだな」
「あっ。ゆかりさんに返すの忘れていたよ」
前髪に触れると、冷たくて細いピンの感触があった。