クリア・スカイ

 そうはわかっていても、真実に直面するのはけっこう堪える。こんな気持ちになるのなら、再会しないほうが良かったのかな。


 私が刺身などを運んだ後は、他の仲居さんたちが次々に料理を運んできた。彼女達はにやにやした顔で私を見て、何も言わずに去っていく。


 柳さんと駆はサッカーやテレビ番組などの話で盛り上がっていた。私は時々話に入りながらもくもくとご飯を口に運ぶ。新鮮で豪華な食材を使った料理なのに、美味しいと感じられないのは何故だろう。


――夕食を食べ終えるとデザートが運ばれてきた。バニラアイスとフルーツの盛り合わせだ。

 冷たい感覚を舌で味わっていると、先に食べ終えた駆がごそごそと動き始めた。



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