クリア・スカイ

「良かった、喜んでくれて。そうそう、この石の名前、知っていますか?」

「えっと、確か……ペリドット、ですかね」

「その通りです。ペリドットは、古代の人々に何て呼ばれていたのか、知っていますか?」


――分からない、そう答えた私に、柳さんは教えてくれた。そして、こう続けた。

「あなたにぴったりの石ですね」と。


 柳さんと河原で別れ、私は再び自転車に乗って病院へと向かう。前髪にはさっそく新しいヘアピンをつけた。

 本当はつけるのが勿体ないくらい大切にしたい物。でも、だからこそ、私は毎日でもつけようと思う。


 なぜなら、このヘアピンもきっと、いろいろな景色を見てみたいだろうから。

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