クリア・スカイ
「えっと、最初は『この場所に』って意味でしたけど……」
「やっぱり一人での島観光は珍しいのでしょうか。みんなそういう目で僕を見ていますから」
「き、気を悪くさせたらごめんなさい。皆、悪気はないんです。ただ、珍しいから、つい……」
「空野さんが謝ることはありません。この島だけじゃなくどの島も、言葉は悪いですが閉塞的な雰囲気を持っていますから。観光名所とか色々聞いても、どこかよそよそしくて。……それで、今はこの場所でのんびりしています」
そう言ってまた川に視線をやる柳さんの横顔は、とても寂しそうだった。
「ここ以外の島も行ったことがあるんですか?」
「そうですね。大学生の夏休みは長いもので。この期間に沢山の島を回っているんですよ。おかげでこんなに真っ黒です」