クリア・スカイ

 ほたるは昔から旅館のお手伝いをしていて、旅館の看板娘としてとても人気があったらしい。

 そのほたるが旅館に出られなくなり、私はほたるのために何かしてあげたくて、代わりに旅館で働くことを希望した。ほたるのように看板娘にはなれないし、仲居さんの手伝いの手伝いくらいしか出来ていないけれど。


「そうだ、昨日駆くんのお母さんから果物をもらったの。陽咲ちゃん、果物好きでしょう? 用意してくるから、その間ほたると話してあげてね」

 女将はそう言って病室から出て行った。女将に言われた通り、私はぴくりとも動かないほたるの顔を見て話しかける。


「ほたる聞いて、昨日大輔さんがおにぎりくれたんだよ。その時にほたるのことを聞かれたんだ。大輔さんってやっぱりほたるのことが好きなのかなぁ。でも、ほたるには駆がいるもんね。大輔さんはいい人だけど、駆ほどカッコよくはないもんね。まぁ最近駆もチャラチャラしていてちょっと、ね。ほたるからも駆に言ってほしいな。黒髪の方が似合うってさ!」


 
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