クリア・スカイ
一方的な会話。決して返ってこない相槌。思いついたことをただ並べているだけで、これは多分コミュニケーションって言わないのだろう。
でも、きっとほたるならこう答えるだろうって想像することはできる。何年も一緒に過ごしてきたんだもん。今の会話に対しては、きっとこのように答えると思う。
『大輔くんが私を好きなわけないよー。きっと妹のように心配してくれているんだと思う』
『私も駆くんは黒髪の方がいいな。前だけを向いてグラウンドで走り回っている、そんな駆くんが大好きなの』
「そうだよね、私も……今の後ろ向きな駆は、見ているだけで辛いよ」
『うん。でも私は……陽咲ちゃんにも、毎日笑っていて欲しいと思うな』
彼女はきっと、あの春陽のような笑顔を見せてこう話すだろう。笑って私たちの背中を押してくれるような子だもの。