クリア・スカイ

 慌てて否定したけど、完全に図星。だって、駆がいることを忘れていたもの。でも、それを認めちゃうともうここにはいられないので、私はひたすら否定し続けた。

 いつの間にかまた駆との言い合いになり、それを止めてくれたのは柳さんだった。


「僕なんかでよければずっと見てもらって構わないですよ」

「い、いいんですか?」

「うん。全然気になりません」

「やったぁ」


 柳さんからまさかのオッケーをもらい、とりあえず喜ぶ私。この後、駆からは「何喜んでいるんだよ」と冷静にツッコまれ、また言い返し、というやりとりをしているうちに私たちは神社に到着した。

 赤い鳥居をくぐり、ゆるやかな石段を上っていく。上りきった先には竹林に囲まれた参道があった。

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