クリア・スカイ

 私たちの返事を聞くよりも早く、柳さんはおみくじ売り場に近づいて行った。

「柳さんって、なんていうか……突っ走るタイプなのかな」

「かもね。子供みたいで面白いよね」


 私たちは柳さんの背中をゆっくりと追いかけた。子供を見守る保護者になった気分だ。柳さんの姿を見ているだけで心が穏やかになる。少なからず駆も同じ気持ちになっているんじゃないかな。だって、今の駆の表情はとっても柔らかいから。


「お前もおみくじ買うの?」

「そうだね、久しぶりに買おうかな。おみくじなんて小学校以来かも」

「……そっか」

 過去の思い出話になると決まって会話が途切れる。理由はもう明らかで、私たちは沈黙するか話題を変えるかして避けていく。

< 78 / 318 >

この作品をシェア

pagetop