クリア・スカイ
私たちの返事を聞くよりも早く、柳さんはおみくじ売り場に近づいて行った。
「柳さんって、なんていうか……突っ走るタイプなのかな」
「かもね。子供みたいで面白いよね」
私たちは柳さんの背中をゆっくりと追いかけた。子供を見守る保護者になった気分だ。柳さんの姿を見ているだけで心が穏やかになる。少なからず駆も同じ気持ちになっているんじゃないかな。だって、今の駆の表情はとっても柔らかいから。
「お前もおみくじ買うの?」
「そうだね、久しぶりに買おうかな。おみくじなんて小学校以来かも」
「……そっか」
過去の思い出話になると決まって会話が途切れる。理由はもう明らかで、私たちは沈黙するか話題を変えるかして避けていく。