クリア・スカイ

「宮村くんが好きだった絵本は、どんな話だったんですか?」

「タイトルは〈虹色の夢〉って本です! 内容も丸暗記しているんで、ちょっと話してもいいですか?」

「もちろん、どうぞ」

 柳さんに了承を得た駆は、ふう、と深く深呼吸をした後、絵本の内容を語り始めた。


〈生まれてきてくれた君へ。
 ねぇ、君はどんなことに興味があるの?
 絵本を読むのが好き? じゃあ次は、君が物語を作ってみよう。
 真っ白な画用紙の中に、君だけの世界が広がるよ。

 テレビを観るのが好き? じゃあ次は、君が楽しいことを考えてみよう。
 楽しい君を見たら、きっとお母さんは笑顔になるよ。

 石ころをけるのが好き? じゃあ次は、石ころをおっきなボールに変えてみよう。
 緑いっぱいの芝生の上でボールを蹴る君を、みんなはヒーローと呼ぶよ。

 あちこちにものを投げるのが好きなら、きっと将来は有名な野球選手だ。
 星を眺めるのが好きなら、本を開いて星のしくみを勉強してみよう。
 動物が好きなら、将来は動物のお医者さんになれるかもしれない。

 ねぇ、見てごらん。君の世界にはびっくりするくらいに夢がつまっている。
 君は何が好き? 好きなことをお母さんに話してみよう。
 そうすればきっと、もっともっと夢が広がって、君の世界は虹色になるよ〉
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