クリア・スカイ
柳さんと話が合って嬉しかったのか、久しぶりに絵本を思い出したのか分からないけど。
きっと彼は気づいていない。自分から、サッカーの話をしているということ。サッカー選手になることが夢だって、口に出して言っていることを。
今、この時が駆に言えるチャンスだと思った。駆、サッカーちゃんとやりなよ。夢のためにも、部活にちゃんと出たほうがいいよって。不思議と勇気も湧き上がってきた私は、ドキドキしながら口を開いた。
「駆、あのさ――」
「――駆先輩、ここで何しているんですか」
やっと訪れた絶好のチャンス。それをあっさりとつぶしたのは、巫女装束を身にまとった黒髪美少女、奏(かなで)ちゃんだった。手には何かのポスターを持っており、どこかに貼りに行く途中のようだ。