クリア・スカイ
「よお、久しぶり。俺が昔みた絵本の話をしていたんだ。あと、東京から来た方に案内していたんだ」
「どうも、こんにちは。君はこの神社の巫女さんですか」
「ええ、まあ。それにしても、あなたは……」
愛想よく挨拶している柳さんに対して、奏ちゃんはにこりとも笑わない。何かを言いかけたまま、じっと柳さんの顔を見ている。鋭い目つきは、まるで睨んでいるかのようだ。
「私の顔に何かついています?」
「いや、別に」
奏ちゃんは私たちの一つ年下で、ほたるとは同級生。私は、彼女のそっけない所が苦手である。でもほたるは奏ちゃんと仲が良かったようで、駆とも打ち解けているようだ。……つまり、彼女が苦手なのは私だけ?