クリア・スカイ

「陽咲先輩、ちょっと聞きたいことがあるのですが」

「えっ私?」

「はい。出来れば二人きりで話したいのですが」

 奏ちゃんは私のリュックを掴んだまま、男二人の顔をじっと見た。その顔は、空気を読んで先に行け、と言っているように見える。


「じゃあ俺たちは先に歩いているから」

 駆もそれに気づいたようで、柳さんを連れて出口の方へと歩いて行った。必然的に私は奏ちゃんと二人きり。滅多にこの子と二人きりになることはないので少しだけ緊張する。

 でも、彼女の聞きたいことは何となく予想出来る。きっとほたるの病状のことだろう。


「――陽咲先輩は、駆先輩のことをどう思っていますか」

「え?」

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