クリア・スカイ
「大丈夫ですよ。この島の美しさは今日で十分伝わりました。みなさん厳しい季節を知っているからこそ、この時期を大切に過ごしているのでしょうね。だから今も、この海辺は沢山の人でにぎわっている」
柳さんの言う通り、ここには海水浴が出来ない時期にもかかわらず沢山の人が来ている。
私達のように砂浜に座って海を眺めている人、波と鬼ごっこしている人。そして、砂浜でサッカーをしている少年たち。
――あれ。よく見るとその少年の中に、弟の陽太がいる。いつもこんなところで遊んでいるから砂まみれなのか。
「あっ! お姉ちゃん、駆お兄ちゃん!」
陽太も私達の存在に気づき、一人でこちらにやってきた。