クリア・スカイ

「陽太、いつもこんなところで遊んでいたの? もう日も沈みかけているし、そろそろ家に帰ったほうがいいんじゃない?」

「えー、まだ早いよ。あ、そうだ。駆お兄ちゃん、今日こそサッカーを教えてよ!」

 陽太は無邪気な笑顔で駆にねだった。駆はそんな陽太の顔を直視できずに顔を背けている。

 やっぱり駆はサッカーに向き合おうとはしない。そんなのは昨日今日で変わる
ことじゃないって分かっているけど、ただ残念に感じた。

 そう感じるのはきっと、今日がとても楽しかったからだ。駆と久しぶりにたくさん話して、遊んで、昔に戻ったような気がしたからだ。

 そして、やっぱり私も、そんな彼に何も言えないでいる。


「宮村くん、一緒にサッカーをしてあげてください。僕達は海で待っていますから」

 そんな私達の重い空気を壊してくれたのは柳さんだった。


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