クリア・スカイ

「もうすぐご飯です。それまでに運動して、たくさんお腹を空かせてきてください。……空野さん、僕達はもう少しあちら側へ歩いてみましょう」


 柳さんはそう話しながら私の手首を掴み、陽太の友達がサッカーをしている方とは逆に歩きだす。

 駆の意見はまったく聞かずに、強引に決めてしまった。
 でも私の手首を掴む力はとても弱くて、優しい。柳さんに触れられた瞬間、私は何も考えられなくなっていた。


 胸が飛び上がるようにドキドキする。夕暮れで涼しくなってきているのに一気に体温が上昇していく。背中が汗ばんで、少し気持ち悪い。喉が渇く。潮風で髪もべたべたする。

 でも、嫌じゃない。嫌なことが嫌じゃなくなるくらい、この身にステキなことが起こっている。



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