クリア・スカイ
「私にとっては大きな出来事です。今まで私は、彼に何の言葉もかけられませんでした。自分にそんな資格は無いと思っているので」
「なぜそう思うのですか?」
「それは……私自身、毎日をせいいっぱい楽しんでいないからだと思います。自分にブレーキをかけて、自分で作った世界で生きているから」
「どうして、空野さんは自分にブレーキをかけているのですか? あっ、言いたくなかったら言わなくていいですよ、もちろん」
柳さんに話したくない、なんてことは無い。むしろ聞いて欲しかった。今の私の抱えているものを。
この広大な海のように、柳さんは包み込むように聞いてくれる。そう思えるから。