恋愛結婚させてください!
駐車場に行くと、トウマ君の車が近づいて来て、助手席側の窓を開け、
「乗って。」と私の顔をみる。
乗り込むと、前に乗った時みたいに
私の上に身を乗り出してシートベルトを締めてくれる。
これって誰かに見られたら、絶対恋人に見えるって思う。
「自分で出来る。」という文句は
「昨日は上手く出来てないし、俺が締めた方が早い。」と言われておしまいだ。

私は大人しくシートに寄りかかる。
「コムギ、疲れたか。
リーダーに慣れるまで、朝、俺の車で一緒に行くか?」と聞かれ、
「大丈夫です。」と慌てて断っておく。
朝、一緒に出勤したら、大勢に目撃されるでしょう?
「私との事って隠す気はないの?」と聞くと、
「隠す必要ないだろ。結婚するし。」とアッサリ言うので、
「プロポーズされてません。」と機嫌の悪い声を出すと
「今、してほしい?」と私の顔を真面目な顔で覗く。
「…今は止めて。」と脱力してしまう。
どうも、調子が狂う。
どこまで本気かわからない。
「ちゃんと付き合ってから、プロポーズするよ。」
とトウマ君は真面目な声をだした。

困ったオトコだ。
私はまだ付き合うなんていってませんけど。
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