恋愛結婚させてください!
「まあ、急がなくていいよ。
俺たちにはまだ、時間がある。
俺もまだ、クリニックを継ぐ、自信はないし、
コムギもまだまだ一人前じゃないしね。
とりあえず、俺と付き合ってみてよ。
きっと、気にいると思う。」と私の瞳を覗く。

許婚ってそういうモノ?

「とりあえず?」
「そう、とりあえず。でいいよ。
その間に好きになってもらうから。」と、フフンと鼻で笑う。
「とりあえずで、好きになるわけないじゃん。
やっぱりトウマ君は馬鹿だよ。
それにこの間から、私がトウマ君を好きになるって決めてかかってるけど、
どうしてそう決めつけてる訳?!」と怒ると、
「じゃあ、試してみろよ。
付き合えないって、思うのは、
オトナになった俺と一緒にいるのが怖いからか?」と呆れた顔をする。
「こっ、怖くなんか…」
「やっぱりコムギは子どものままだな。
7歳年上の俺が怖いんだろ。」と更に馬鹿にした視線。
「怖くなーい!!」と叫ぶと、
「じや、決定な。俺と付き合え。」と急に大きく笑顔を見せた。

あれ?
なんかのせられてる?
昔も、こんな風に言い負かされてた記憶が蘇る。

「竜二さんとタイガが証人な。
コムギは俺がちっとも怖くないから、
付き合ってみて、好きになるかどうか試すんだろ。」
と笑った。

竜二さんとお兄ちゃんはゲラゲラ笑っている。
「コムギの負けだ。
まだまだ、トウマに勝てないな。ちゃんと付き合いな。」
とお兄ちゃんは私の頭をポンポンと撫でた。

…やられた。
昔から、私を怒らせて、思い通りにしていたヤツだったって
今更思い出した。
くそお。


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