恋愛結婚させてください!
「さて、帰るか。明日も、早く出勤するんだろ。」とトウマ君が言う。
私は怒った顔のままで頷く。
「ひとりで帰る!」と言うと、
「そういう所が子どもなんだよ。
ひとりで帰ったら、タイガ達がコムギが家に着くまで心配するだろ。
俺が送った方が安心するって気が付けよ。」と機嫌の悪い声で言って、私のバッグを持つ。
正論を言われ、言い返す事が出来ない。
「ほら、行くぞ。」とまた、手を掴まれ、店を後にする。
「コムギ、おやすみー。」とお兄ちゃんの声が聞こえた。


トウマ君がマンションに着く。
私が大人しくトウマ君の車に乗せられ、シートベルトを締めてもらっていると、
「コムギ、まだ怒ってるのか?」と耳元で囁かれる。
顔が近い。
私が顔を背けると、
「拗ねるなよ。俺は付き合える事になって嬉しい。」と耳を甘噛みしてくる。
「止めて。」と私の顔が赤くなっていくのがわかる。
「喧嘩したまま別れたくない。」とトウマ君は言って、
そっと私の頬に唇を付けて、車のエンジンをかけた。

喧嘩っていうか、
トウマ君がの思った通りになる事が気に入らないだけだ。

トウマ君はカッコいいし、スタイルもいいし、頭もいい。
意地悪なことをいうけど、
私の事を気にしてくれているのはわかっている。
今日も、きっと私の仕事が終わるまで、
待っていてくれていたんだろう。
疲れている私を気遣って、朝も一緒に車で行こうと言ってくれていたし。


トウマ君は父との約束をまもりたいだけじゃないんですか?

本当に私を好きになろうとしているんですか?

本当に私はトウマ君を好きになっていいんですか?

よくわからないよ。

静かに走る車の中で私は考え続けていた。
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