恋愛結婚させてください!
ホテルのロビーで洗面所に寄る。
化粧をなおし、トウマ君の側に戻ろうとすると、
「芦沢。」と、トウマ君が男性の友人に声をかけられている。
チョット出て行きにくくて少し影に立って話が終わるのを待つ事にする。

「芦沢、三島教授に呼ばれてるだろう。
教授の立ち上げる函館の新しいこども病院。行くのか?」と聞かれているみたいだ。
「いや。俺は病院移ったばっかりだから、断ったけど。」とトウマ君が答えている。

函館?北海道の?

「まだ、あきらめてないらしいぜ。独身で使えるヤツって少ないだろ。」と笑う。
「相変わらず勝手なオヤジだな。」とトウマ君は少し笑ったみたいだ。
「まあ、行く事になったら連絡くれ。送別会をしてやる。」と男の人の声。
「行かねーって。じゃ、またな。」と返事をしているみたいだ。

函館?
新しいこども病院?
行かないって言ったよね。
トウマ君、私には何にも言ってないし。

私が顔を出すと、
「コムギ、今日は付き合わせて悪かったな。
帰ろうか。」と笑顔を見せ、
「友達にコムギを紹介出来て良かった。
アカリのヤツ変な事言ってなかったか?」と言うので、
「私達が付き合う事になると思ってたって。
…後、来年結婚してアメリカに行くって言ってた。」とトウマ君の顔を見ると、
「そうか。いい相手に会えて良かったよ。
俺はアカリを傷つけたから。
幸せになって欲しい。」と懐かしそうに目を細めた。
「私も、幸せになって。って言われました。」と言うと、
「俺はコムギと一緒にいられて、結構幸せだって思ってるけど。」と私の手を取って歩き出す。
私は少し赤くなって、
私も結構幸せです。と心の中で言って
トウマ君の隣を歩いた。



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