恋愛結婚させてください!
私は開店前のDragon & Tiger に行って、キッチンでオーブンを借りて、
母がよく作っていたアップルパイとナスのラザニアを作る。
どちらもトウマ君が好きだったものだ。
店の奥の席を借りて(私がいつも泣くところ。)パーテーションで仕切り、
折り紙で作ったチェーンや、お花を飾り付け、明るいテーブルクロスを広げた。

「頑張ってるな。」と仕込みに来たお兄ちゃんが顔を出す。
お兄ちゃんには、他の料理をお願いしてある。

「お兄ちゃん。私は、トウマ君が好きなの。」と言ってみる。
「俺には分かるけど。」と言うので、
「トウマ君に伝わっているかな?」とため息をつくと、
「ちゃんと言ったら。あいつも結構鈍いから。」と笑って、
「おまえら、まだ、寝てないだろ。
トウマは少し、距離をとってるよな。
おまえにちゃんと、選ばれたいんだと思うよ。」と私の顔をみた。

そうなの…かな。

トウマ君は待ってくれてる。
「伝えてみる。」と、心に決める。

トウマ君の事が知りたい。
トウマ君とちゃんと恋人になりたい。
心も身体も、ひとつになりたい。


聞きたかった事はきちんと聞こう。
聞きたい事も聞けないようでは私は一緒にいられなくなる。
きっとそうだ。

私は明るい気持ちで、店を出て、着替えに行くことにする。
お気に入りのワンピースを着て、
薄くお化粧し、私はトウマ君の帰りを待った。




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