恋愛結婚させてください!
料理が次々に運ばれ、グラスが回される。シャンパンが注がれ、
お兄ちゃんがグラスをあげる。
「親友のトウマと、妹のムギが結婚する事になってすごく嬉しい。
きっと、温かい家庭になると思う。」と挨拶をしてパーティが始まった。
それぞれにテーブルに座ったり、立ったまま、笑いあったりしている。
私達に声をかけてくれて、たくさん笑いあう、
サクラは私のそばで、泣いたり、笑ったりして、竜二さんが面倒をみている。
竜二さんは、サクラと付き合っていないけど、
結構、サクラの周りにやってくるオトコを寄せ付けないよう
絶妙なタイミングで邪魔をしていているのがわかって面白い。
きっと、そう言ったら、
妹みたいなもんだから。っていうと思うけど、
きっと、そうじゃないって思う。
竜二さんは早く自分の気持ちに気づいて欲しい。
サクラはずっと待ってると思うから。

藤堂さんが私のそばに立つ。
「おめでとう。」と笑顔だ。
「そのうち結婚するだろうって思ってたけど、
先を越されるとは思わなかったな。」とにっこりする。
「ふたりは、しばらく離れて暮らすことになったのね。
でも、大丈夫よ。トウマはコムギちゃんが大好きだから。」と言ってくれる。
私が微笑むと、トウマ君が
「まあね。毎日電話するし、当直明けは連休にしてもらえる事になってる。
きっと、普通のカップルより、会えるんじゃないかって思うよ。」と言うので、
「そう。私も来年になったらアメリカよ。
向こうで、式を挙げてしばらく普通に主婦をするの。」
とそっとお腹を撫でたので、
「赤ちゃんですか?」と小さな声で聞くと、
「そうです。夏にはお母さんなの。」と笑った。
幸せそうな笑顔だ。
後ろに立ったパートナーの男性も、藤堂さんの顔を見て、嬉しそうに笑い、
「おめでとうございます。」とトウマ君と言い合っている。

「まあ、トウマもガンバって。」と笑いながら離れて行った。

「俺たちもガンバってみる?」とトウマ君が私の瞳を覗くので、
私は赤くなって下を向いた。

いや、もうちょっと、私がオトナになってから。
コウノトリには来ていただきたい。


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