デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
支度を終え、朝餉をとって休憩室を出る。

その頃には、もうすっかりまばゆい朝の光とほんの少し冷たい空気が、公宮を満たしていた。

普段よりも一段と着飾り、その美しさがあたりを払うように際立つ王の後に、近衛と視察に随行する数人の近侍が続いた。

いつもなら謁見のための人でひしめいている廊下を通り、公宮の表の大きな出入り口を出ると、その広くて長い階段の下に、王の外出のための長い隊列が静かに待機していた。

朝の爽やかな風を受け、藍色の髪をなびかせながらゆっくりと階段を下りる。その輝くような主君の威に、自然と皆膝を折った。

「統括長」

凛と通る声で、一ノ所の武官の長達を呼ぶ。

「はっ」

数人の体格のいい中年の男性たちが王の前に出てひざまずいた。

「各々、準備は抜かりないな」

「は、後は我が君の号令一下に」

その言葉に、唇の端を持ち上げて笑った。

「では、参ろう。王都の視察へな」
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