デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
隊列は長く、馬も常歩で進むので、王の一行が通り過ぎるまでは長い。それでも大勢の住人たちは深く頭を垂れて、じっとひざまずいていた。

王宮を出てから早くも一時間以上はたっていた。

日も少しずつ高くなって、雨暑期の暑さがじっとりとあらわれてきた。

早く通り過ぎてやりたいが、そうもいかない。

王は苦笑いして、住人たちに心の中で詫びながら進んでいた。

(………さて)

王宮から、かなり離れたな。

その紫の目が、少し細まった。

王都は大門まで真っ直ぐに走る大通りだけではなく、横の通りもいくつか大きなものがある。

間もなくその一つ、大きな十字路が見えてきた。

その四つ角にはそれぞれ大勢の住人たちがひしめき合い、皆深く礼をしている。

顔を上げ、小さな微笑みを絶やさぬまま、ゆっくりと進む王の馬は、やがてその十字路の真ん中に差しかかった。



その刹那、耳をつんざくような轟音が響き渡った。


何かの爆発か、王の前方にある四つ角の家の一つが、もうもうと煙を上げている。
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