デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
真っ黒な翼を広げ、その凄惨な美貌は死人のように青白く、そしてほとんどが、その目を金色に輝かせていた。
「あれだ、あの月毛の馬に乗った奴こそ!」
「そうだ、人の子の王だ!!」
「我らの幾千人もの同胞の仇だ!!」
「さあ狩るぞ!あの憎き王を、人間共の前で喰ろうてやろうではないか!」
そう口々に叫び、憎悪と興奮に身震いしながら、一斉にその身めがけて飛んできた。
混乱の中、なおも逃げ惑う人々に思うように動けない近衛や近侍たちが青くなった。
「我が君!お逃げ下さりませ!」
声をからし、口々に叫ぶ。
それは先程、王に言われて『合図』の青い狼煙を上げた統括長たちも同じだった。
「我が君!御身が捕らえられては元も子もございませぬ!後は我々が!!どうかお下がりくださいませ!」
だが彼は、高い空から自分に向かって一直線に襲ってくる黒い群れを、一人静かに見つめていた。
「我が君!!」
「騒ぐでない。汝らが動揺して何とする。すべては予測どおり。―――さあ」
今や百以上に膨れ上がった『魔』たちの群れを怜悧な瞳で見据え、スイと腕を上げる。
彼へ急降下する『魔』たちの、その愉しみに歪む顔が見えるくらいになったその瞬間。
「射よ!!」
涼やかな声とともに、その腕が振られた。
「あれだ、あの月毛の馬に乗った奴こそ!」
「そうだ、人の子の王だ!!」
「我らの幾千人もの同胞の仇だ!!」
「さあ狩るぞ!あの憎き王を、人間共の前で喰ろうてやろうではないか!」
そう口々に叫び、憎悪と興奮に身震いしながら、一斉にその身めがけて飛んできた。
混乱の中、なおも逃げ惑う人々に思うように動けない近衛や近侍たちが青くなった。
「我が君!お逃げ下さりませ!」
声をからし、口々に叫ぶ。
それは先程、王に言われて『合図』の青い狼煙を上げた統括長たちも同じだった。
「我が君!御身が捕らえられては元も子もございませぬ!後は我々が!!どうかお下がりくださいませ!」
だが彼は、高い空から自分に向かって一直線に襲ってくる黒い群れを、一人静かに見つめていた。
「我が君!!」
「騒ぐでない。汝らが動揺して何とする。すべては予測どおり。―――さあ」
今や百以上に膨れ上がった『魔』たちの群れを怜悧な瞳で見据え、スイと腕を上げる。
彼へ急降下する『魔』たちの、その愉しみに歪む顔が見えるくらいになったその瞬間。
「射よ!!」
涼やかな声とともに、その腕が振られた。