デブスの不思議な旅 ～恋と変と狂愛？と～

次の瞬間、逃げ惑う群衆の中から、一斉に『魔』の群れに向かって無数の矢が飛んだ。

風を切る音が響き、先陣を切って王にその爪をかけようとしていた数十の『魔』がその矢に貫かれ、恐ろしい叫び声を上げながら地に落ちて悶絶している。

あとに続いていた者たちは、みな動揺の声を上げながら、慌てて空中にとどまった。

「さあ、害虫駆除だ。我が誇り高き武官たちよ、剣を抜け。その武勇をもって、王都を守れ！！」

号令一下。

群衆の中に紛れていた王都武官、そして地方武官たちが、皆フードを取り、マントを脱ぎ捨てて次々と剣を抜いた。

なおも、空中へ向かっておびただしい矢が射られる。

群れになっていては格好の的だと悟ったのか、たまらず『魔』たちは地上に降り立った。一体武官たちは何百人紛れていたのか、降り立ったと同時にそれぞれ『魔』に斬りかかる。

阿鼻叫喚が響く中、文官たちは打ち合わせの通り、住民の誘導とその動揺の沈静化に走り回っていた。

王は馬上から、その様子を見守る。

動揺し、ごった返す人混みの中ではその強い大きな翼が邪魔になる彼らは、次々と武官たちに捕らえられ、あるいは始末されていく。

たまらず飛び上がると、容赦なく矢が射られる。

美しいその顔に、冷酷な微笑みが浮かんでいた。