デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
ボフッと一気に血が上る。

(ちょっ!ちょちょ!!)

必死で肩を数回叩くと、一度の呼吸の分だけ唇が離された。

「口を、開けよ」

吐息と共に命じられ、目を回しながら小さくその唇を開ける。

「舌を出せ………大丈夫、震えるな…。そう………可愛い……」

桜に深くて長いキスを教えながら、ささやいた。

プルプル震えながら、与えられる呼吸の合間に涙目で訴える。

「王様……もうダメ……は、恥ずかし…死んじゃう………」

ちゅう、と音を立てて唇を吸ってから、彼はクスッと笑った。

「それは困るな」

「へ……」

混乱と恥ずかしさでうまく回らない頭のまま、間抜けな声を出した。

「その傷が治ったら……これどころではないことをするのだが?」

「!!?」

ひっくり返りそうになる桜の反応にまた笑いながら、片眉を上げた。

「散々焦らされたのだ。待ってなどやらぬ」

そう言って、また深く唇を繋げた。
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