デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
「……楽しみだな?」

その瞳を少し熱を持って揺らし、もてあそんでいた髪をそっと口元へ寄せた。

「あ…う」

お泊り。王様の部屋に。

あの時は自分の気持ちが分からなかったけれど、今はもう、私は王様が好きで、王様も私を欲しいと言ってくれていて。

………ってことは、つまり………。

みるみるうちに、耳たぶが熱くなってくる。

たまらず下を向いて、動揺にまばたきを多くした。

彼はそんな桜の様子を見ていたが、くすくすと忍び笑いをして、チュッとその熱い頬に一度口づけした。

「そう怯えるな。無理強いはしない」

「あ…」

「私の事を好きでいてくれるのなら、そなたを傷つけたくはないからな」

優しいその言葉に、少しホッとして顔を上げた。

「が……もうあまり我慢はできないがな」

「ひえっ」

思わず両手を前にして身構えた。

まるでファイティングポーズのようなその格好は、色気も素っ気もない。
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