デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
(ま………眩しい………)

朝から臣下たちは王の顔を見るたび、しぱしぱと目をまたたかせていた。

きらきらと輝くようなオーラをまとい、見惚れるような笑顔を終始浮かべている。

謁見人も皆困惑顔だ。

「我が君……申し訳ございません……我らの地方の作物が不作ゆえ……王都への規定の出荷が厳しく……」

地方の郷士の一人が地に額をつける。

「うん、良い。王都の備蓄は足りている。汝らの生活を優先し、王都への出荷分はその余剰で良い」

にこぉ、と笑ってうなずいた。

「遠路はるばる大儀であった。王都の美酒でも購って、皆で分けよ」

そう言うと、自らその耳に下がっていた宝石のピアスを外して、目を丸くする謁見人に渡してやる。

ごく…………と異様な緊張が、その部屋に満ちた。

わけの分からない王の上機嫌に、臣下も謁見人も冷や汗をかく。

(我が君のご機嫌が………なんだコレ)

お互いに目配せし合うが、わかる人間などいない。

その後も、彼は謁見人一人ひとりにアクセサリーを一つずつ渡していったのだった。
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