デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
神告を聞いたあと、椅子から軽やかに立ち上がり伸びをした。
(早く会いたい)
不思議な気持ちだった。
身も心も手に入れてしまえば、桜への焦がれるような恋情は落ち着いて、穏やかに慈しむような愛情になるかと思っていたのだが。
(むしろ、あれを知ってしまって……ますます、欲しい。すべてが欲しい)
予想と全く逆になっている事に驚いていた。
段を降りて戻ろうとした王だったが、そっと戸の外を見た一人の文官が呼び止めた。
「恐れながら、我が君」
「?何だ」
「一ノ所の統括長がお一人、ご判断を仰ぎたき儀があると」
仕方ない。彼はうなずいてまた腰掛けた。
「良い。通せ」
言うと、すぐに統括長がやってきて深く礼をした。
「謁見外のお時間に、大変申し訳ございませぬ、我が君」
「ああ、何だ」
「はい、先日の掃討時に捕らえた『魔』共の処断についてでございます。他の謁見人がいないときの方がよろしいかと存じまして」
「…………」
「我らが武官達によって始末した骸は王都の外へ打ち捨ててございますが……獣を呼ぶかもわかりませぬ。それから、捕らえた者共は捕縛したままだ息がございますゆえ」
「……………」
「彼奴らをいかに致しましょうか。武官達に命じて、首を斬らせましょうか。それとも半死半生にして放り出しましょうか」
「…………」
(早く会いたい)
不思議な気持ちだった。
身も心も手に入れてしまえば、桜への焦がれるような恋情は落ち着いて、穏やかに慈しむような愛情になるかと思っていたのだが。
(むしろ、あれを知ってしまって……ますます、欲しい。すべてが欲しい)
予想と全く逆になっている事に驚いていた。
段を降りて戻ろうとした王だったが、そっと戸の外を見た一人の文官が呼び止めた。
「恐れながら、我が君」
「?何だ」
「一ノ所の統括長がお一人、ご判断を仰ぎたき儀があると」
仕方ない。彼はうなずいてまた腰掛けた。
「良い。通せ」
言うと、すぐに統括長がやってきて深く礼をした。
「謁見外のお時間に、大変申し訳ございませぬ、我が君」
「ああ、何だ」
「はい、先日の掃討時に捕らえた『魔』共の処断についてでございます。他の謁見人がいないときの方がよろしいかと存じまして」
「…………」
「我らが武官達によって始末した骸は王都の外へ打ち捨ててございますが……獣を呼ぶかもわかりませぬ。それから、捕らえた者共は捕縛したままだ息がございますゆえ」
「……………」
「彼奴らをいかに致しましょうか。武官達に命じて、首を斬らせましょうか。それとも半死半生にして放り出しましょうか」
「…………」