デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
ガラガラと、馬車は王の執政の宮、【公宮】に向かって走る。
(もうほんと、小さい町くらいの規模があるよね…)
呆れるほどの広さ。馬車がなかったら、全て徒歩で移動するのだろうか。
運動になりそうだなあなどと呑気に考えながら、夜の景色を見る桜。かがり火の光が、あとからあとから流れてゆく。
ハーフアップにした黒髪が夜風にさらされて、白い首筋があらわになっていた。
桜と向かい合って座る二人は、三ノ所を出てから言葉少なだった。
自分は誰の指図も受けないと言い放った、あの凛とした横顔。いつも自信なさげで、うつむく事の多かった彼女の、思いがけない芯の強さを見た気がした。
そして、シディの一流の仕事で、すっかり娘らしい姿になっている。
それが恋する者の欲目だったとしても、
(………まずい。本当に、溺れそうだ)
そう二人が思うのには十分だった。
そういえば、と桜は気になっていた事を今更思いだす。
流れる景色から、ふと目の前の二人を見た。
「お二人は、ここで働いているんですか?」
(もうほんと、小さい町くらいの規模があるよね…)
呆れるほどの広さ。馬車がなかったら、全て徒歩で移動するのだろうか。
運動になりそうだなあなどと呑気に考えながら、夜の景色を見る桜。かがり火の光が、あとからあとから流れてゆく。
ハーフアップにした黒髪が夜風にさらされて、白い首筋があらわになっていた。
桜と向かい合って座る二人は、三ノ所を出てから言葉少なだった。
自分は誰の指図も受けないと言い放った、あの凛とした横顔。いつも自信なさげで、うつむく事の多かった彼女の、思いがけない芯の強さを見た気がした。
そして、シディの一流の仕事で、すっかり娘らしい姿になっている。
それが恋する者の欲目だったとしても、
(………まずい。本当に、溺れそうだ)
そう二人が思うのには十分だった。
そういえば、と桜は気になっていた事を今更思いだす。
流れる景色から、ふと目の前の二人を見た。
「お二人は、ここで働いているんですか?」