デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
桜の予想通り、土手の上に道は作られていた。
けれど、その目線は今登ってきた土手の向こう側の景色に釘付けになってしまった。
「な……に……、ここ…」
広大な平地に、街が広がっていた。
はるかかなたに山並みがうっすらと見える。
街といっても桜が見慣れているビル群のような建物はなく、まるで日本史の教科書に載っている『平安京』のようで、低くて雑多な建物が、妙に整然とした区画にひしめいていた。
呆然と立ちつくしたまま、目線を下げると、町はこの土手の下からすぐ始まっている。
この街の住人が行き交い、子供たちが走り回っていて、それ自体はよくある光景なのだが――
「あの…格好、なに…?髪…とか…なんで…?」
視力はいい桜の目がとらえたものは、さらに彼女を混乱させた。