デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
いた!

その後ろ姿に向かって走り出す。

焦るあまり何人かにぶつかったが、頭を下げる余裕もない。

徐々に近づいてくると、アスナイのグレーの髪も見えた。

桜が近づいているとは知らず、歩きながら何事か話している。

「シュリさん!アスナイさん!」

桜が呼ばわると、パッとこちらを振り返った。

「桜!」

驚きの表情を浮かべる二人の元に、飛び込むように駆け寄った。

はあはあと息はきれているし、額には汗が伝っている。

「桜、お前…」

ポカンとするシュリ。

「よかった…間に合って…ちゃんと、挨拶、したかったんです……」

ほっとしたように笑う桜を、アスナイは複雑な思いで見つめた。

また王都に来る時まで、会わずに行こうと思っていたのに。
やっぱり愛しくて、離れがたい。
これから月に3回会えるのは嬉しいが、毎回こんな思いをしないといけないのかとも思う。

「あのな、桜。俺もアスナイも、月3回、休みの前の日に王宮に来ることになったんだよ。休みはバラバラだから必ずしも一緒ってわけじゃねーが」
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