デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
女が手にランプを持ち、中を照らすと。
ぼんやりとした光に浮かび上がったのは、大小様々な空の檻。
「…!?」
異様な光景に目を見開いていると、女がその中の一つの扉を開けた。
まさか、と思う間もなく、その中に押し込められる。
「や…やだ、出してえ!!」
必死に入口に手を伸ばしたが、ガシャンという無情な音がして、彼女の監禁が完了してしまった。
そのまま、二人はまた元の場所へと戻ってゆく。
出入り口のカーテンが下ろされ、桜の檻の部屋は真っ暗になった。
「出して、ねえっ、出してよ!何で!?」
必死にガタガタと檻を揺らしてみても、びくともしない。
「何で!?…何で、私ばっかり、こんな目に…」
裸の肩を震わせて、桜は泣きだした。
人生は、いいことも悪いことも続かないという。でも私は、いいことなんて一つもなかった。
それなのに。
「私、そんなに悪いことしたの?ひっそり生きていこうって、思ってただけなのに…」
―――もうすぐ夜がくるのだろうか。
「寒い…」
泣き疲れて、桜は浅い眠りについた。