デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
「……やはりな。お手柄だ、桜」

「え?」

「王都に結界が張られていたのには気づいたか」

「あっ…はい、カナンに教わりました。外から入れないようにしてるって」

桜が言うと、王はうなずいた。

「近々、この王都が『魔』の襲来を受けそうでな。そのために結界を張っているのだ」

「えっ!?」

驚いて、思わずその顔を振り返った。
するとにこっと笑い、心配に表情が曇る桜の額に、また小さな口づけをした。

「大丈夫だ、あ奴らがどうやってここを襲うつもりなのかは、大体予想がついていた。そしてそなたが昨日、街中で一匹見つけてくれた事で、確信に近づいた」

王の意図が分からず、首をかしげる。

「ふふ…。それより、今私が言ったことは宮中の中枢にいる人間しか知らぬ。だからそなたも、女官にも言わないでほしい」

桜がはっきりとうなずくのを見て、また王はにっこりと笑った。
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