デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
いつもの戸の前に着いた。
昨日の出来事を思い出して、なんとなく入りづらかったが、無情にも女官が戸を開け帳を払った。
にこっと笑って、王が桜の手を取る。
「おいで」
(普通だ………)
何だか自分がどぎまぎしたのがばからしくなる。
(まあ……王様にとってはあんなの何でもないことなんだろうしなあ)
「どうした?」
のぞき込む王に、首を振ってみせた。
(あ、そうだ、昨日大事な事言ってないよ)
あの、フード付きのマントに身を包んだ『魔』。
あの人のせいで、王様にとんでもない脅しをかけられるハメになった。
「王様、あのう、昨日の……私が会っていた人の事なんですけど」
桜の真面目な表情に、ふと真顔になってうなずいた。
「ああ、そうだったな。あやつは一体…?」
桜は話した。すれ違った『魔』と、街に出るたびに出くわすこと。言われた事やされた事。
みるみるうちに、王の顔がしかめられた。
厳しく目を細め、桜を見据える。
「なぜ、そんな危険な目に遭っているのに私に言わなかった」
その叱責に小さくなった。
「すみません、つい……今まで実害がなかったから」
昨日の出来事を思い出して、なんとなく入りづらかったが、無情にも女官が戸を開け帳を払った。
にこっと笑って、王が桜の手を取る。
「おいで」
(普通だ………)
何だか自分がどぎまぎしたのがばからしくなる。
(まあ……王様にとってはあんなの何でもないことなんだろうしなあ)
「どうした?」
のぞき込む王に、首を振ってみせた。
(あ、そうだ、昨日大事な事言ってないよ)
あの、フード付きのマントに身を包んだ『魔』。
あの人のせいで、王様にとんでもない脅しをかけられるハメになった。
「王様、あのう、昨日の……私が会っていた人の事なんですけど」
桜の真面目な表情に、ふと真顔になってうなずいた。
「ああ、そうだったな。あやつは一体…?」
桜は話した。すれ違った『魔』と、街に出るたびに出くわすこと。言われた事やされた事。
みるみるうちに、王の顔がしかめられた。
厳しく目を細め、桜を見据える。
「なぜ、そんな危険な目に遭っているのに私に言わなかった」
その叱責に小さくなった。
「すみません、つい……今まで実害がなかったから」