八月のアークトゥルス。
とうとう
担任と校長先生が僕を気にしてやってきた


「どう?落ち着いた?」


「あんまり、、」

そう言うと校長先生は気を遣って
お菓子を持ってきてくれた。

「つまらんものだけど」


そう言って、渡したのはやはり
とっても美味しそうなお菓子だった。


「皆、世界が来なくて心配してるぞ」


担任は僕に言った。


「それは無いと思います。」


僕はキッパリと言った。





「僕、イジメられてるので。」





「そうなのか、、?」



やはり担任はそんな事実を知らなかった。



「僕、無口だし遊ばないし話さないから。勝手に嫌われたんです。別に気にしてないです。今はそんなこと考えている時間なんて無いから。」



「そうかぁ、、まあ、、クラスのみんなに言っておくよ。イジメをするなってな。」



「やめてください。僕が言ったことがバレたら、余計火に油を注ぐだけだから。」



教師は時々、「余計なお世話」というものをする。それが僕らにとってどれだけ嫌なことなのか、分かってない。




「進路は、、どうするんだ?中3だぞ、、?」



突然話を変えてきた。
やはりイジメられていることは素通りされてしまったわけか。


「何も考えてないです。高校に行く義務なんてないし。」





「でもなぁ、高卒じゃないと、どの仕事もとってもらえないぞ??」

どうにかして高校に行かせたい担任は
暑苦しく感じてしまった。


「高校の学費は、、制服代は、教材費だって交通費だって、誰が払うんですか?」






「僕はお金を持ってません。働けないし。」



「知り合いの方はいらっしゃらないのか?その方に貸してもらえばいいだろう」



母さんの知り合いはきっといる。
だけど僕は会ったことすらない人で
そんな人にたやすく貸してもらえるわけがない。

「簡単に言わないでください。」


「簡単になんて言ってない。ただお前が心配だから」



心配?


心配なんて
必要ない。



「もう、帰ってください。」



僕には心配なんかじゃなくて


救いが欲しいんだ




「明日、学校来いよ」




そう言って担任は
帰っていった。



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